基調提案に関するコメント
井本先生のコメントです。
土曜日だけでしたが、浦和での埼生研大会の基調学習に出ました。
以下、私の個人的感想です。
・スタンダード化の学校にするためのマニュアル化に抗して、「子ども
の目線に立った実践を」のテーマで、埼玉の仲間の中学校2本の実践報告
をもとにしながら、具体的に提起された。
とりわけ子どもの目線に立ち、子どもの声を聴こうとすると「甘い」「
だから、子どもが言うことを聞かなくなる」などと管理職や同僚の目を
意識しがちになり、「強い指導」なるものによって、子どもとの関係が
壊れていくことがある。子どもの行動の思いや裏を読み開き、子どもにも
同僚にも届くような語りかけの内実をどのように創っていくのか。また
同僚の声にならない思いを受け止めながら、決して「自己の主張の
正義感」を振りかざすのではなく、真摯な対話(「呼びかけ」と「応答」
関係)を築いていくことの重要性が指摘された。その際には、子どもからも
同僚からも学ぶ姿勢や自分の「権力性」「自己過信」「自己中心性」を
絶えず問い返しながら、自己変革を行っていくことが大切であること。
自分が変わらずして、子どもや同僚の変革を求めることは出来ないことを
あらためて考えさせられた。
・基調では「道徳の教科化に抗して」の問題提起もなされたが、論議は
時間の関係か、なされなかった。しかし、提起されたように二本の実践
における「生活指導、集団づくり」実践こそが、真の道徳性を子ども達に
育むものであることが強調された。子どもの生活現実を捨象したあれこれの
「徳目」を上から流し込むのではなく、一人ひとりの子ども達の生きている
生活世界に立っての「自己と他者(自然を含む)と社会」への信頼を育む
実践こそが最も大事であることを思い浮かべた。
・学生や若い教師の発言や声にはパワーを与えられる。彼らの「呼びかけ」に
「応答」でき、また「応答」し合うことの学びの重要性を基調からも、討論
からも教えられた。